子どものお腹の病気
子どものお腹の病気
子どものおなかの病気は主に急性に発症してくるものと慢性的に訴えがあるものに大きく分けられます。年齢などによっても原因となる疾患は異なります。
これまで自ら内視鏡検査や腹部超音波検査を行い、多くの子どものおなかの病気を診療してきました。
急性に起こってくる腹痛や嘔吐の中には腸重積や急性虫垂炎といった緊急で処置や治療が必要な病気もあります。
当院では問診や身体所見に加え、腹部超音波検査を積極的に活用することでこれらの「見逃してはいけない病気」でないかをしっかり評価していきます。腹部超音波検査は被爆や痛みがなく、リアルタイムで繰り返し行うことのできる検査で子どものおなかの病気を診療する上で非常に有用な検査手段です。
慢性的(おおむね数週間~数か月、数年)に繰り返し起こる腹痛や下痢の訴えも多くみられます。はっきりした原因のあるものは適切に診断、治療することで症状の改善が見込める可能性があります。
また、はっきりした原因がなくても(過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患)症状を改善し、日常生活に支障がないような治療を行うことも可能です。当院では一般診療での診療に加え、平日午後や土曜日に「専門外来」として時間予約枠を設けてこれらの病気の診療を行っております。
便秘とは、「便が滞った、または便が出にくい状態」と定義されています。便秘の子どもの訴えとしては「排便回数が少ない」「便が固い」「排便量は少ない」「排便時に痛みや出血を伴う」といったものが代表的です。
経過によって一過性便秘と慢性便秘に分けられます。一過性の便秘は便が排出されてしまうと症状が消失するもので、急に腹痛などの症状が起こり浣腸などで便が排出されると症状がよくなるものです。慢性便秘は乳幼児では1か月以上、小学生以降は2か月以上の長期間にわたり「便秘」の症状が持続するものをいいます。
慢性便秘は多くが腸や全身にはっきりした原因のない、便秘(機能性便秘といいます)が多いのですが長期にわたる問題となることも多く、日常生活の困りごとにもなります。治療開始が遅れるほど、症状の持続期間や治療期間も長くなるとされており、きちんと診断・治療することが大切です。
治療の選択はさまざまあり、ガイドラインに沿った標準的な治療を提案し、お子さんや保護者の方と話し合いながらすすめていきます。便秘でお困りの場合はお気軽にご相談ください。御兄弟や親御さんの便秘の治療も可能です。
小学生や中学生から大人の方まで「(緊張すると)おなかが痛くなる、何度もトイレに行きたくなる」という訴えは非常に多いです。胃や腸にはっきりした原因のない機能性腹痛や過敏性腸症候群であることが多いのですが、学校や職場で何回もトイレに行ったりすることは日常生活の困りごとになります。
また、このような症状を訴える方の中には「胃十二指腸潰瘍」、「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)」や「好酸球性消化管疾患」といったきちんと治療する必要のある病気が隠れていることがあり、まずはこのような「はっきりとした原因のある病気(器質的疾患)」でないかの評価が必要です。
過敏性腸症候群には大きく下痢型、便秘型、混合型(下痢と便秘)があり治療薬もそれぞれ病型によりさまざまです。当院ではまずははっきりとした原因がある病気でないかどうかの評価を行い、日常生活に支障を来す場合は内服薬の治療を行っていきます。
小児の過敏性腸症候群の大部分は数年以内に症状の改善がみられる病気ですが、場合によっては不登校など社会生活へ支障が生じてきたり、生活の質の低下を招くことがあります。繰り返し起こる腹痛や下痢でお困りの方はお気軽にご相談ください。